【怖い話・怪談】寺の住職が10年かけて鎮めた恐怖の老婆の怨霊
幽霊の旧跡と噂されるその寺に、ある日新しい住職が赴任した。背筋を凍らせるような冷気、奇妙な物音、そして年老いた女性の嘆き声。彼は、この寺院が抱える恐るべき過去を耳にすることになる。
悲愴な運命を辿った老婆の霊は、痛ましい死を遂げてから長い年月、寺の境内を彷徨っていた。老婆の怒りと悲しみは、時間が経てば経つほどに力を増し、次第に強力な怨霊へと変わり果てたのだ。
住職は、この不穏な存在を鎮めるべく、祈祷や法要を重ねていく。しかし、怨霊の恨みは深く、住職に降りかかる災いも日に日に増していった。幾度となく命の危険に晒されながらも、彼の信念は揺るがない。怨霊の悲痛な物語を、心に刻みながら、彼は10年の歳月を費やし続けた。
寺の住職が怨霊を鎮めたとされるのは、月明かりの下でのある事件がきっかけだった。老婆の怨霊が激しく住職を襲いかかるが、彼は怯むことなく堂々と対峙し、静かに、だが力強く語りかけた。
そして、ついに住職の温かい祈りが老婆の怒りに届き、彼女の霊は静けさを取り戻したという。その夜を最後に、物音や嘆き声は聞こえなくなり、かつての怨霊とされた老婆の存在は、消えることなく、しかしもはや無害となって寺に留まっていると伝わる。住職の献身的な努力の結果、寺は過去の惨事から解放されたのである。
