【怖い話・心霊スポット】廃墟マンションの呪縛 - 解体と共に甦る怨念
街のはずれにある廃墟のマンションは、長い間、地元の人々に恐れられていた。そのマンションはかつて多くの人が住んでいたが、数々の不幸な出来事が起こり、やがて人々は去り、廃墟と化した。そして、その解体が決定された時、恐ろしい出来事が起こり始めた。
解体作業が始まる数日前、作業員の一人、佐々木さんが夜中に何かを感じて目を覚ました。彼の目の前には、マンションがあるはずの場所に、薄暗い霧が立ち込めていた。
「何だ、この霧は…」
霧の中から、かすかに人の声のようなものが聞こえてきた。まるで、誰かが助けを求めているように。
翌日、佐々木さんは作業現場で同僚たちに話した。
「おい、昨夜、おかしなことがあったんだ。」
「何だよ、佐々木。夢でも見たのか？」
「いや、違う。マンションの方から、人の声が聞こえたんだ。」
同僚たちは笑ったが、佐々木さんの顔は真剣そのものだった。
解体作業が始まると、さらに奇妙なことが起こった。作業員たちが壁を壊すと、そこから古い写真や手紙が見つかった。それらは、かつてこのマンションに住んでいた人々のもののようだった。
「これは…」
ある写真には、幸せそうに笑う家族の姿が写っていた。しかし、その家族の目は、何かを訴えるように見えた。
作業が進むにつれて、作業員たちは次々と不幸に見舞われた。怪我をしたり、突然体調を崩したり。中には、「マンションの中から何かが自分を見ている」と訴える者もいた。
「何かがおかしい…」
ある夜、解体現場を見に行った佐々木さんは、マンションの窓に人影を見た。
「誰だ？」
彼が近づくと、その人影は消えた。しかし、彼の耳には、ささやくような声が聞こえていた。
「ここを離れてはいけない…」
佐々木さんは恐怖に震えながら現場を離れた。その後、彼は二度と現場に戻らなかった。
解体作業は難航し、ついには中断された。マンションは依然としてその場に残り、地元の人々は再び恐れを抱くようになった。
「あのマンションには、呪いがあるんだ…」
この物語は、廃墟のマンションが抱える不幸と怨念の象徴かもしれない。解体が始まってから起こった奇妙な出来事は、そのマンションにまつわる恐怖をさらに強めた。人々は今も、そのマンションを遠くから眺めながら、恐れと好奇心を抱いている。
「あそこには、まだ何かがいるんだ…」
解体が中断されてからも、マンション周辺では不可解な現象が続いていた。夜な夜な、窓からは薄暗い光が漏れ、時折、人の声のようなものが聞こえるという。
地元の学生たちの間では、この廃墟マンションにまつわる怖い話が語り継がれるようになった。ある学生が、友人たちと勇気を出してマンションに近づいたときのことだ。
「ねえ、本当にここ、呪われてるの？」
「分からないけど…見てみない？」
彼らが建物に近づくと、冷たい風が吹き抜けた。窓の一つがゆっくりと開いていくのが見えた。彼らは恐怖に震えながらも、その窓の下まで近づいた。
「ここ…なんか変だよ…」
彼らが窓を覗き込むと、突然、中から何かが彼らに向かって飛び出してきた。それはただの風だったかもしれないが、彼らにはまるで何かが襲い掛かってきたように感じられた。彼らは悲鳴を上げてその場から逃げ出した。
この事件以来、マンションはさらに恐ろしい場所として語られるようになった。解体が中断されたマンションは、今もその場に佇んでおり、地元の人々は誰も近づこうとはしない。
「あそこには、絶対に近づいちゃいけない…」
この物語は、ただの都市伝説かもしれない。しかし、そのマンションには何かが存在しているという噂は、今も尚、人々の間で囁かれ続けている。そして、廃墟のマンションは、静かに時を刻み続けているのだった。
