【怖い話・怪談】墓じまいをした一族に起こった心霊現象
その出来事は、ある古い家系に伝わる墓地の墓じまいがきっかけで始まった。代々受け継がれた大きな墓地に眠る先祖たちの霊を慰めるため、墓じまいを決行することが決まり、準備が進められた。しかしその夜から、一族に不可解な現象が頻発するようになったのだ。
墓地の清掃が始まった日から、一族の家の中で小さな物音が聞こえるようになった。家具が勝手に動いたり、無人の部屋から呼び声が聞こえることもあった。睡眠中には先祖かと思しき人影を見た者もいた。それらの現象は日に日に増していき、家族内の恐怖は増大していった。
特に恐ろしい出来事があったのは、墓石を移設しようとした日だった。働き手が墓石を持ち上げようとした瞬間、とんでもない悲鳴が周囲に響き渡った。目に見えない力によって、数名の作業員が地に倒れ、これ以上の作業は不可能と判断された。
その後、一族は先祖への道を重ねて謝罪することになったが、奇怪な現象は完全には止まらなかった。一族の中でいくつかの体調不良や重大な事故が起こり、墓じまいを断念せざるを得なくなった。かくして墓じまいは中止され、先祖たちの静かな眠りを乱した代償を、一族は身をもって感じることになった。
この教訓が伝えたいのは、先祖とその歴史を尊重する大切さかもしれない。過去を軽んじた行いから、予想もしなかった報いを受けた一族の事例は、墓じまいを考える者たちにとって厳かな警鐘となるだろう。
