【怖い話・怪談】中国の兵馬俑に伝わる恐怖の死者の怨霊
中国の広大な土地にひっそりと佇む、数千年の時を超えた秦始皇帝の陵墓。その側には、兵馬俑として知られる無数の土の兵士たちが整列している。静寂に包まれた闇の中、生者と死者の界があいまいになるその場所では、恐ろしい噂が絶え間なく囁かれている。
秦始皇帝の死後、その埋葬に携わった者たちは口封じのために生き埋めにされたと言われている。その怨念が土の兵士たちに宿り、夜な夜な墓所を彷徨う死者の霊となって出現するというのだ。
訪れた者たちは、視線を感じ、耳元でささやく声を聞く。それは光も届かぬ奥深くから発せられる、恨みがましい怨霊たちの囁きである。足を踏み入れるたびに、乾いた土の香りとともに空気が冷え、呼吸さえも凍り付くような感覚に襲われる。
遺跡の真実を知ろうとする人々の中には、カメラの画像が歪む、録音機器に不可解な声が録音されるといった奇怪な現象を報告する者もいる。頭脳明晰な学者でさえ、その場の空気に圧倒され、理性の糸が断ち切られることを恐れる。
兵馬俑の間を歩くとき、何かが肩を触れるような気配を感じるかもしれない。ふと目を向ければそこには、ただの土偶･･･それとも、生前の姿を取り戻したかのように凛と立つ兵士の霊か･･･。油断してはならない、彼らの怨みは何千年たっても色褪せることはない。
訪れた者に静かに訴えかける、兵馬俑の壮絶な歴史と死者の怨霊。陵墓の深奥で眠る秦始皇帝の霊までもが、自らの支配を今も地上に持ち越そうとしているのかもしれない。静寂に包まれながらも、その場所から溢れ出るのは、不穏な空気と言い表せない程の恐怖だ。
