【怖い話・怪談】ある女性が狙われた恐怖の呪われたストーカー事件
幽かな月明かりだけが、静寂に包まれた街を照らし出していた。ある女性、彼女の名前は美沙紀。彼女は自らの経験した絶対に忘れられない出来事、それは恐怖の呪われたストーカー事件について語る。
毎夜、家の外から窓を叩く音に怯え、夜も眠れぬ日々が続いていた。窓のそとには誰もいない。しかし、耳を疑うような声が聞こえてくる。『私はお前を見ているぞ』―それは不気味に歪んだ声だった。
美沙紀は警察に何度も通報したが、すでに手遅れであった。警察は証拠がないと動いてはくれない。彼女が受け取る唯一の抗いの手段は、玄関に鍵をかけ、カーテンを閉め切ることのみ。しかし、それでもなお、細工された人形や呪術のお札がポストに投函される夜が続いた。
瞬く間に平穏な日常は消え去り、訳もなく内側から蝕まれる恐怖に彼女は震え上がる。不思議なことに、この一連の嫌がらせは美沙紀の周囲で奇怪な出来事が起こるたびにエスカレートしていた。仕事を失った日、恋人との別れ、家族との不和。彼女が不幸に遭う直後に、必ずといっていいほど、新たなる恐怖が彼女を襲った。
美沙紀は次第に、自身を取り巻く異常な事態に呪いの力が働いていると結論付ける。だが、その呪いが誰から発せられ、なぜ自分がその対象となったのか、その答えを見つけることはなかった。彼女の心に深く根を張る恐怖、誰かに狙われ、常に見張られるという絶え間ない不安感。
一言も発することなく家を出る。匿名の街角に消え入る美沙紀を、規則的に歩く足音がひっそりと追いかけるのだった。
