【怖い話・怪談】近づくと自然と飛び降りてしまう恐怖の呪われた崖

崖はそこに佇むだけで背筋を凍らせるような圧迫感を放つ。その場所の名は多くの地元民さえ恐れて口にしないが、遠方から訪れた無知な旅行者たちはしばしばその地を観光地だと勘違いし、足を運ぶ。驚くべきは、その崖の縁に立った者には不可解な現象が起こるという。空の広がる美しい景色を眺めるはずが、何らかの力に引かれるように前のめりになり、軌道を一点に集中させて身を投げ出してしまうというのだ。

昼夜を問わず、ぽっかりと空いた目でゆっくりと、まるで誰かに導かれるかのように崖へと向かう人影が後を絶たない。地元の老人は昔話のように語る。「この崖には昔々、罪を犯した者たちが身を清めるために身を投げた。その魂が、今もこの場所にしがみついているのじゃ」。欝の淵、憐憫の岸、呪いの断崖―多くの名があるが、訪れた者はそのどれにも触れることなく、ただ、無意識の中で最期の一歩を踏み出してしまうのだ。

誰も、その呪われた崖に近づくことのないよう囁き続ける町。しかし、好奇心は人を惑わし、時には防げない運命へと導く。幾星霜の時を越え、この崖の恐るべき伝説は今日もまた、誰かの人生に暗い影を落とそうと待ち構えている。訪れる者よ、その一歩が最後の一歩にならぬよう、警戒せよ。あなたの足元は、もはやあなたの意志ではない何かに支配されているかもしれない…。