【怖い話・心霊】種松山の頂上にあるトイレで目撃される白い女性
種松山の頂上にあるそのトイレは、不可解な現象で有名だ。特に、白い衣を纏った女性の幽霊が目撃されるという噂が絶えない。
「まさか、本当に出るわけないよね？」友人は半ば興味本位でそう言ったが、僕の中には既に不安が芽生えていた。
ある霧深い夜、僕たちはそのトイレを訪れることにした。周囲は静寂に包まれ、僕たちの足音だけが響く。トイレに近づくにつれ、なぜか心臓の鼓動が早くなる。
「ここ、すごく気味が悪いよ…」友人が小声でつぶやく。トイレの扉を開けると、冷たい空気が流れ出る。僕たちは恐る恐る中に入った。
中は思いのほか普通のトイレだったが、なぜか空気が重い。友人が個室に入ると、僕は外で待つことにした。すると、ふと鏡に白い影が映った。
振り返ると、そこには白いドレスを着た女性が立っていた。顔は見えないが、その存在感は圧倒的だった。「誰…？」声をかける間もなく、彼女は消えた。
恐怖で足がすくむ。友人が個室から出てきた時、彼女の姿はもうなかった。「今、白い女性が…」と話すと、友人の顔色が変わる。
「本当に出たのか…？」友人も恐怖で震えていた。僕たちは急いでその場を離れようとしたが、トイレの扉が開かない。まるで何かに閉じ込められているようだ。
「開けてくれ！出してくれ！」友人が叫ぶ。突然、トイレの中が寒くなり、霧が立ち込め始めた。鏡には再び白い影が映り、今度ははっきりとした女性の顔が見える。
その顔は悲しみに満ちていて、僕たちに何かを訴えかけているようだった。「どうして…」彼女の口から声が漏れる。
恐怖のあまり、僕たちは力を合わせて扉を開ける。何とか外に出ると、彼女の姿は消え、周囲は再び静寂に包まれていた。
僕たちは震えながら山を下り、二度とあのトイレに近づくことはなかった。しかし、あの夜の出来事は、僕たちの心に深く刻まれた。
その後、地元の人々から聞いた話では、かつてあのトイレで不慮の事故に遭った女性がいたという。彼女の霊は、なにか伝えたいことがあるのではないかと僕たちは思った。
種松山のトイレでの出来事は、ただの噂ではなく、現実の恐怖だった。僕たちは、あの白い女性が何を伝えたかったのか、今もなお考えることがある。彼女の魂が安らかに眠れる日が来ることを願いつつも、あの夜の出来事は消えることがない。
僕たちは、その後も何度か種松山を訪れたが、あのトイレには二度と近づけなかった。白い女性の幽霊が僕たちに何を伝えようとしたのか、その意味を理解することはできなかった。
しかし、地元の人々と話をしているうちに、彼女が生前、愛された人との約束を果たせなかったという話を聞いた。彼女の霊は、その未完の約束を果たすために、まだこの世に留まっているのかもしれない。
夜の種松山は、今もなお静かで神秘的だが、あのトイレの近くには、いつも不思議な空気が漂っている。あの白い女性の霊は、今もなお訪れる者たちに何かを訴えかけているのかもしれない。
あの恐怖の体験は、僕たちにとって一生忘れられない記憶となった。それは単なる心霊現象以上のもので、あの白い女性の悲しい過去と、彼女の魂の安息を願う思いが混じり合った、忘れがたい出来事だった。
種松山の頂上にあるそのトイレは、今もなお多くの噂と恐怖の対象となっている。しかし、僕たちは、あの白い女性の霊がいつか安らかに眠りにつくことを心から願っている。彼女の物語は、訪れる者たちに、過去の人々の生きた証を静かに伝え続けているのだ。
