【怖い話・怪談】呪われた女性が住んでいた赤い部屋の恐怖

かつて、ある小さな町に赤い部屋があった。その部屋は廃墟となった古い洋館の最上階にぽつんと佇んでおり、誰も近づこうとはしなかった。赤い部屋には薄気味悪い伝説があったのだ。そこに住む女性がいたとされるが、彼女はある日を境に姿を消した。言い伝えによると、女性は呪われており、その部屋もまた禍々しい力に支配されていた。

暗い夜には、その部屋からおぞましい泣き声が町中に響き渡ることがあったという。だが、怖ろしさを抱えた好奇心旺盛な若者が真実を確かめるためにその部屋を訪れた際、彼らは一切の音を聞くことはない。ただ、壁に掛かる鏡には彼らの背後に微笑む女性の姿が映り、心底から凍りつく恐怖に襲われた。

赤い部屋に住んでいた女性の呪いは、禁忌を犯した者の心と魂に深く染み込み、彼らは二度と以前の平穏な日々には戻れないと噂されている。その面影が、一度覗き見ると決して離れない。それはまるで、女性の怨念が永遠にその場所に留まるかのような恐怖を纏う。

今でも、月明かりに照らされた赤い部屋は、誰もいないはずなのに、薄暗い光に浮かび上がる女性の静かなる影を窓に映し出している。そして夜な夜な、彼女の哀れな魂が求めるのは過去に戻り、訪れた者に無念の想いを託すことかもしれない。遠く離れた場所からその赤い部屋を見つめると、まるで何かが訪れるのを待っているかのような佇まいが恐怖を誘う。