怖い話と怪談まとめ

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【怖い話・怪談】ひな祭りに聞こえる小さな少女のすすり泣く声

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【怖い話・怪談】ひな祭りに聞こえる小さな少女のすすり泣く声

【怖い話・怪談】ひな祭りに聞こえる小さな少女のすすり泣く声

春の足音が聞こえる頃、彩り豊かな雛人形が家の一角を華やかに飾る。ひな祭り――それは女の子の健やかな成長を願う行事。しかしそこには、見えざる存在が潜むこともあるのだ。
ある古びた屋敷では、毎年桃の節句が近づくと、小さな少女のすすり泣く声が聞こえ始める。一見すると、風情あるこの屋敷には穏やかな春の訪れを祝うかのような柔らかな月明かりが差し込むが、その光の中には人形たちが妖しく微笑む姿が浮かび上がる。

家族も使えも、泣き声が聞こえるたびに恐怖の渦に飲み込まれ、誰もその部屋に足を踏み入れることはできない。噂によると、その声はかつてこの家に住んでいた少女のものとされている。愛されることなく、孤独な死を迎えた彼女の、この世の春を悼む嘆きが今も響いているのである。

雛人形が並べられた部屋には、いつしか誰も近づかなくなり、埃をかぶったまま月日が流れる。だが、閉ざされたはずの部屋からは、依然として絶えずその泣き声が漏れ聞こえる。子供たちはそれを耳にし、震え上がる。ひな祭りが訪れる度に、不気味な歌声が奏でられるように声はますます力を増していく。

そしてある年のひな祭りの夜、一人の好奇心旺盛な少年が思い切ってその部屋に足を踏み入れた。戸を開けた瞬間、残るはその少年の悲鳴のみ。朝になっても部屋からは姿を消した少年の足音さえ戻ることはなかった。

こうして、毎年繰り返されるひな祭り。彼女のすすり泣く声は未だに止むことはない。静かだがどこか冷たい月夜に、少女の声は今宵も響き渡る。毎年春を告げるひな祭り。しかし、その屋敷にとっては、恐怖の夜が再び訪れるだけなのである。