【怖い話・怪談】沖縄の久高島で石を持ち帰った若者を襲った怪奇現象
青い海に囲まれた沖縄の久高島、古くから神聖な地として崇められ、豊かな自然に恵まれている。しかし、その美しい景色の裏には語り継がれる不可思議な怪異が潜んでいる。ある若者が島の石を持ち帰るという禁忌を犯したことから始まる恐怖。彼の日常は、一つの小さな石をきっかけに一変した。
帰宅後、彼は不思議な現象に悩まされる。部屋の隅で物音がする、いつもとは違う凍えるような風が吹き抜ける。寝ている間も安息は許されず、悪夢にうなされ、覚めると枕元にはまるで誰かが立っていたかのような圧迫感。石を持ち帰った日から彼の周りの空気が変わったのを感じ取れる。
ある夜、突然部屋の温度が下がり、ささやくような声が聞こえてきた。目を開けると、ぼんやりとした人影が視界の隅に見える。しかし、目を凝らせば消えてしまうその影。理解できない恐怖、逃れられない焦燥感。彼は石の呪いかと思い、心当たりのある島の石を海に返そうと決断する。
だが、海へ向かう道中、背後から誰かに追われているような感覚にとらわれ、振り向く度に何もいないことに息を呑む。ついに海辺にたどり着き、石を投げ捨てた瞬間、まるで重荷が下りたかのように全ての不可解な現象が消えていった。しかし、その若者の心に残った深い恐怖は、決して消えることのない怪異の記憶となっている。
この話速せば、久高島の神秘を侮るなという教訓が込められている。美しい自然には理解できぬ力が宿り、人々を守りながらも、その掟を破るものには容赦なく罰を与える。自然と共に生きる沖縄の人々の間では、今もこの怪談が語り継がれており、久高島に足を踏み入れる者は決して何も持ち帰ってはならないという暗黙の了解があるのだ。
