【怖い話・怪談】てるてる坊主の由来にまつわる怖い話

かつてある村では、てるてる坊主はただの晴天祈願ではなかった。その風習には暗い背景があり、その由来には一人の少女の悲しい運命が関わっていたという。幼い頃から雨女と嘲笑された少女は、ある年の長雨で村が飢饉に見舞われた際、村人たちによって生贄として山神に捧げられてしまう。少女は縄で縛られ木に吊されたまま、晴れを願う村のために祈りを捧げ続けた。死後、彼女の魂は雨を司る存在となり、晴天を望む者たちに応じるようになったのだ。

それ以来、てるてる坊主を吊るすことは、その少女の霊との契約を意味し、彼女の祈りが天に届くよう働きかける儀式と化した。しかし、この契約には恐ろしい代償が付きまとう。晴れを願い、てるてる坊主を作る者は、もし翌日雨が降れば、少女の怒りを買うことになる。曰く、少女の霊が雨と共に降りてきて、晴天を願った者の家に不幸をもたらすとされているのだ。実際には晴れた後に病気が蔓延したり、事故が増えたりしたという話も後を絶たない。

今もなお、雨が続く日、誰かがてるてる坊主を作るたびに、あの少女の霊は見守っているのだろうか。一つ一つの願いが、果たして本当に彼女の魂に届いているのか、それともただの迷信に過ぎないのか。しかし、この世には理解を超えた存在と、不可解なできごとがあるのも事実だ。もしも突然の晴れ間が訪れ、どこか不自然に明るい陽射しが窓を叩くとき、村で語り継がれてきたその話を思い出し、背筋が凍るような恐怖を感じる者も少なくないだろう。あなたが次にてるてる坊主を吊るすときは、その糸の先に何が繋がっているのか、よく考えてからにするべきかもしれない。