【怖い話・怪談】登山途中で出会った摩訶不思議なおばさんの恐怖
登山はいつもの趣味、しかし例の日はすべてが一変した。静寂に包まれた山道を歩いていたとき、遠くから女性の声がした。よく見ると、年老いたおばさんが一人佇んでいた。周囲には他の登山者の気配もなく、どこからともなく現れたかのようだった。
声をかけると、おばさんは不思議な微笑みを浮かべながら、まるで何事もなかったように談笑し始めた。彼女は山の神秘について語り、不気味な言い伝えを披露した。その言葉は心にひっかかるものがあり、その場を離れようとしても足がすくんでしまうようだった。
そのおばさんは、目の前で突然姿を消す。しかし、その後も頭上から語りかける声がする。風のない静かな木々の間を、何者かが見えざる足音で駆け巡る。戸惑いながらも下山を急ごうとすると、今度はおばさんの顔が木々の間から、こちらを覗き見るように現れる。
恐怖心は頂点に達し、急な斜面を駆け下りる。冷や汗が流れる肌、高鳴る鼓動、届かぬ助けの声。辺りは夕暮れで暗くなり、山の中はさらに深い闇に覆われていく。終わりなき恐怖が心を支配し、おばさんからの逃避行は続いた。
安堵の息をつくのは、ようやく平地に足を踏み入れてからだ。しかし、その不思議なおばさんの存在は消え去ることはなく、今も山を訪れる者たちの間で語り継がれている。真夏の日差しの元でも、ふと思い出し、背筋に寒気を覚えることがしょっちゅうだ。
