【怖い話・心霊】夜を彷徨うメリーさんの不吉な電話
夜が深まると、町の片隅で囁かれるのはメリーさんの話。この町に住む者なら誰もが一度は聞いたことがある、恐ろしい都市伝説だ。ある雨の降る夜、私はその話を耳にした。友人のトムが震える声で語り始めたのだ。
「聞いたことあるか?メリーさんの電話を。」
私は首を横に振った。トムの表情が曇る。彼はゆっくりと話し始めた。
「メリーさんはね、どこからともなくかかってくる電話なんだ。その電話に出ると、静かな女性の声が聞こえるんだ。でも、その声は徐々に歪んでいく。そして、メリーさんはどんなに逃げても追いかけてくるんだよ。」
その話を聞いて、私は少し笑った。しかし、トムの表情は真剣そのものだった。
「笑うなよ。ある日、俺の友達がその電話に出たんだ。次の日、彼は姿を消した。」
私は笑いを止め、トムの話に耳を傾けた。トムが話すには、メリーさんの電話は特定のパターンでかかってくるという。最初は普通の会話から始まり、徐々に声が不気味に変わっていく。そして、その電話を切った後から、恐怖が始まるのだという。
「メリーさんは、電話を切った人間を追いかけるんだ。どこに隠れても、どこまでも追いかけてくる。」
トムの言葉に、私の背筋が凍るような感覚が走った。まるで、その話が現実に起こるかのように。
その夜、私は家に帰り、雨の音を聞きながら眠りについた。しかし、夜中に不意に目が覚めると、携帯電話が鳴っていた。見知らぬ番号からの着信だった。
「もしもし?」私は電話に出た。
「こんにちは、メリーです…」静かな女性の声が聞こえた。
私の心臓が高鳴る。トムの話を思い出し、恐怖で体が固まる。しかし、電話の向こうからの声は次第に不気味に変わっていった。
「あなたを見つけるのは簡単よ…」
電話を切った瞬間、私の家の周りが異様な静けさに包まれた。窓の外にはただ暗闇が広がっている。しかし、その暗闇の中から、何かが私を見つめているような気がした。
その後、私は異常な出来事に遭遇し続けた。家の中で物音がする。窓の外に見える人影。電話のベルが不規則に鳴り、いつもメリーさんの声がする。
「どこにいても見つけるわ…」
日々の恐怖は次第に私の精神を蝕んでいった。もはや、この恐怖から逃れる方法はないのかもしれない。夜の闇が深まるにつれ、私の恐怖は増幅していった。眠ることもままならず、部屋の隅で震えて過ごす夜が続いた。メリーさんの電話は容赦なく、私を追い詰めていた。
ある夜、電話がまた鳴った。震える手で受話器を取ると、メリーさんの声が耳元で囁いた。
「今夜、あなたのところに行くわ…」
私は電話を切り、家中の鍵を確認した。しかし、どこかで彼女が待ち構えていると思うと、家の中でさえも安全ではないように感じた。
時間が経つにつれ、家の周りの気配がどんどん強くなっていった。窓の外では何かが動いている。私は恐怖で身動き一つできずにいた。
そして、深夜、家の中に不気味な音が響いた。ゆっくりと階段を上がってくる足音。その音は私の部屋に向かっているようだった。ドアノブがゆっくりと回る音がして、私の心臓は凍りついた。
「メリーさん、お願いだから…!」私は震える声で叫んだ。
しかし、ドアが開くと同時に、突然、全ての音が止んだ。部屋には何もいない。ただ、私一人が恐怖に震えているだけだった。
その後も、メリーさんの電話は続いた。私はもう何も信じられなくなった。外に出ることも、人と話すこともできなくなった。メリーさんの電話がいつ鳴るか、いつ彼女が現れるか、常に恐怖に怯えて生活している。
私の話を信じるかどうかはあなた次第だ。しかし、もしも見知らぬ番号からの電話が鳴ったら、くれぐれも気をつけてほしい。それがメリーさんの電話かもしれないから。そしてもし、その電話に出てしまったら…あなたも私と同じ運命を辿ることになるかもしれない。