【怖い話・怪談】子犬を虐待した子供に起きた恐ろしい復讐の怨念
ひと昔前のことだが、ある寂れた町で、子犬をひどく虐待する悪戯好きな小さな少年がいた。無邪気な笑顔の裏で、小さな犬を蹴り上げ、投げつけ、ある日は石をぶつけ続けた。田舎町ではあれもこれも噂が立ちやすく、この残虐な行為もすぐさま町じゅうに広まった。地元の人々は怒りと共に怖れを感じて語り合っていた。
夜の訪れと共に、町は一層の静寂に包まれる。だがその夜、罪のない子犬への復讐の怨念が目を覚まし始めたのか、少年の家の周りで不可解な物音が聞こえはじめる。家族すら知らぬ奇怪な足音、窓を叩くか細い爪の音。さらに、少年の部屋には不気味な白い霧が立ち込め、冷たい風が吹きぬけていた。
深夜、家の者はすべて眠りに就き、街灯の明かりも遠くに残るだけ。少年の部屋で独り、布団の中で目を覚ました少年が目にしたのは、血塗られた子犬の幻だった。霧の中から静かに出現し、見つめるその悲痛な眼差し。喉から漏れる悲痛な鳴き声もなく、ただ悲しそうに見つめ続けるのみ。息をのむあまりに恐ろしく、少年は身動き一つ取れずに震えていた。
怨念は少年に語りかける。「償いは必ず求められるものだ」と。次第に怨念は強まり、少年の心に深く刻み込まれる。それからというもの、少年が犬の近くに寄るたびに、不吉な予感と罪悪感が押し寄せるように感じられるようになった。
そのまま時は過ぎ、事実となったか否か定かではないが、この物語は忘れがたい怖い話として、町の伝説となり、後世に語り継がれている。子犬を虐待した子供という罪は、恐ろしい形で復讐されるという、恨みと悔恨に満ちた教訓として。