【怖い話・怪談】リョウメンスクナのミイラを見たものは恐怖の人生を過ごすことに

日本の古くから伝わる幾多の伝説。その中でも、リョウメンスクナという二面を持つ妖怪は人々を恐怖に陥れてきた。しかし、その怪異の存在が何者なのか、見た者は語ることもままならぬ。リョウメンスクナのミイラが世に現れたとき、噂は尾ひれをつけて拡散された。大胆不敵な者がミイラを覗き見るたび、凄惨な結末が待ち受けるとされたのだ。

静寂の中、ミイラはその恐ろしい姿を晒している。その表面は闇夜のように黒く、肌は腐敗したかのように枯れている。目が合った瞬間、心の奥底に積もった不安が渦巻き、抗うことのできない恐怖が体を支配する。

訪れた者は異様な気配を感じ取りつつも、好奇心が恐怖を上回った。だがその目に焼き付けられた暗黒の影は、決して消えない。見た者は悪夢に悩まされ、現実と幻覚の狭間で生きることを余儀なくされる。周囲からは疎まれ、孤独と苦悩の淵をさまよい続ける。

ある者はミイラの呪いだと誓い、またある者はその眼差しが未来を予知すると噂する。どちらにせよ、ミイラを目にした者の人生に幸福な朝は来ない。影に怯え、声に震え、風に打たれてもその恐怖は颯爽と立ちはだかる。

そして、リョウメンスクナのミイラに立ち向かうものは誰もいない。恐怖に負けずに立ち向かってみせると囁く強者が現れても、最後にはすべての勇気が押し潰される。見た者は語ることができず、その顔は語る必要もないほど、恐怖によって歪んでいくのである。