【怖い話・怪談】山の廃墟の病院で祟られた若いカップル
夜の帳が下りた山奥、廃墟と化した病院は不気味な雰囲気を漂わせていた。そこである夏の日、好奇心旺盛な若いカップルが無謀にも探検の足を踏み入れてしまった。廃墟にはかつて多くの命が失われ、うめくような無念の声が今も響いているという噂があった。
病院に足を踏み入れると、冷たい風が二人の頬を撫でた。壁にへばりついた血の跡、ぎしりと鳴る古いベッドが不穏な雰囲気を醸し出していた。エコーする足音、歪んだ影は刻一刻と二人の精神を削っていく。施設の最奥にたどり着くと、彼らは黒ずんだ手術台を見つけた。その瞬間、空気が凍るような悲鳴が響き渡る。
慌てて逃げ出そうとしたカップルだったが、脱出する道がわからなくなっていた。彼らが通って来た廊下はもはや見覚えのないものへと変貌している。後には戻れず、前に進むこともできない。覆い被さる絶望。迷い込んだ者を容赦なく取り込む、山の廃墟の病院が彼らの運命を翻弄する。
何時間後か。二人はようやく廃墟から脱出することができた。しかし、その後も奇妙な出来事は彼らを追い続けた。シャワーから出血したかのような赤い水が流れ、家中で幾度となく聞こえる誰もいないはずの足音。カップルに引き続き起こる怪奇現象。山の廃墟の病院は明らかに彼らに何かを訴えかけているのだった。
