【怖い話・怪談】三角の土地が引き起こす呪われた家族
古びた町のはずれ、三角の土地にひっそりと佇む一軒の家がある。地元の人々はそこを「呪われた土地」と囁き、誰も足を踏み入れようとはしなかった。その不吉な形をした土地で産声を上げた家族には、代々不幸が訪れるというのだ。
先祖代々から伝わるその家には、暗い秘密が隠されている。物忌みの土地に建てられた家は、夜な夜な奇妙な物音に悩まされていた。壁の内側から聞こえるかすかな嘆き、床下を這う何かの気配。家族はそれを無視しつつ日々を過ごしていたが、ある夜、悲劇は突如として訪れた。
家の長男が理由もなく狂乱し、深い眠りについたまま目覚めなくなったのだ。次いで次女が突然の病に倒れ、絶え間なく彷徨う幻影に苦しんだ。不可解な事故が家族を次々と襲い、それでもなお、生き残った者たちは家を捨てようとはしなかった。
「この家から逃れることは許されない」と家の元の主が遺した言葉が、三角の土地に縛られた呪いとされている。誰かがその家を出ようとする度に、目に見えぬ力がその人を引き留め、やがて狂気へと追い込む。
夜風が窓を叩く音だけが、静寂の中で耳を苛む。その家に佇むことは、まるで呪われた土地があなたをその歴史の中に閉じ込めてしまうよう。だが、それでも好奇心から家を訪れる者が後を絶たない。そうしてまた一人、不幸な伝説の一部に消えてゆくのであった。
