【怖い話・怪談】モズの早贄の残酷な食事の話

切り裂かれた獲物の体からは血がしたたり、暗く沈黙した森の中で、それは格別な光景を成す。闇夜に響く野鳥の鳴き声が一段と哀愁を帯びる中で、その残酷な食事がひっそりと執り行われる。これは、モズが独自の方法で餌を捕らえ、食べるための「早贄（はやにえ）」の習性に関する話である。

冬枯れの森を抜ける風が木々をかすかに揺らし、モズの存在が感じられる。森の絶えず変わりゆく命のバランスの中で、モズは小さな命をも奪い取る狩人として君臨する。尖ったくちばしで小動物や他の鳥を捕らえ、どこか陰鬱な雰囲気を帯びた枝に串刺しにする。その光景はひどく残虐に見えながらも、生き物としての残酸をたたえている。

霜が降りて白くなった朝、森には突き刺さったままの獲物が幽霊のように佇んでいる。薄暗い森の中で、何かがひっそりと動く音がする。それはモズが餌を取るためだ。太陽が高く昇っても、その死の宴は終わることはなく、モズは新たな獲物を求めて飛び立つのだ。

しかしモズにとって、これは単なる食事ではなく、生き残るための厳しい現実でもある。木の棘に獲物を刺すことによって、しっかりとした食事を確保し、また身を守る術としても機能している。森の中で、モズだけが知っている生きる智慧があるのだ。

夜が更けるにつれ、森は再び静けさを取り戻していく。けれども、モズの早贄は、夜の闇を超えて人間の心に深い恐れを刻む。実際の現象を想像するだけで、読む者の背筋には冷たいものが走り、ぞっとする。この怪談は、自然界の残酷さと美しさを兼ね備えた、まさに畏れ多い物語なのである。