怖い話と怪談まとめ

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【怖い話・怪談】釣りをしている人を海に引きずり込む老婆の悪霊

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【怖い話・怪談】釣りをしている人を海に引きずり込む老婆の悪霊

【怖い話・怪談】釣りをしている人を海に引きずり込む老婆の悪霊

港町に伝わるおぞましい言い伝えがある。夜な夜な海岸に出没する老婆の亡霊が、ひっそりと釣りをする者たちを海の底へと引きずり込むというのだ。人里離れたこの海岸は、昼間でさえ人影がまばら。だが、夕闇が迫ると、まるで何かを求めているかのように、漁師たちの足音が消えていく。

柔らかな月明かりが照らし出す海岸に、ポツンとたたずむ釣り人の姿。しかし、見知らぬ老婆が不意に現れ、話かけてくる。布切れをまとい、首が不自然に傾がっているその老婆は、死に際の凄絶な表情を浮かべている。その瞳はまるで無限の暗闇を映すかのようで、見つめられた者は凍り付くほどの恐怖を感じる。

老婆の手は冷たく、磯の香りも湿気も帯びていない。釣り糸を手に取りながら、その者の足元に近づくと、海のざわめきさえ遠のく。そしてその手が、ゆっくりと釣り人の腕を掴む。引きずる力は止めることができず、気がつけば足元は泡立つ海水に浸されている。

抗う間もなく、老婆の亡霊は釣り人を深い濁った海の中へと誘う。そこには普段眼にすることのない海の闇の住人たちが、次の獲物を待ち構えている。もがくほどに深く沈んでいくその感覚。釣り人はまるで夢うつつの中で、死の淵を覗く。幾度となくその手を振り払い、ようやく岸辺へと這い上がるが、老婆の存在は消えていない。

今宵も誰かが釣りをしようと海に向かうだろう。その影には、得体のしれぬ恐怖が息を潜めている。海岸で命を落とした老婆の亡霊が、海の深淵へといざなおうと、静かにその時を待っているのだ。