【怖い話・怪談】誰もいないエレベーターで起こった恐怖の心霊現象

深夜、残業を終えたAさんは疲れた体を引きずるようにしてオフィスビルのエレベーターに乗り込んだ。社員が誰一人いない静まり返ったフロア、足音だけが響く廊下、そしてAさんの疲れた気配がただよう空間。しかしエレベーターのドアが静かに閉じると、そこから起こる事態は頭の片隅にも思い描けない恐怖の連鎖だった。

1階のボタンを押し、ふと鏡を見ると、Aさんの背後に黒い影がチラリと映った。瞬き一つで消え去る影。息を呑むAさんだが、そこには誰も立っていない。ただのイリュージョンにすぎないと自分に言い聞かせながら、ボタンの点灯する数字が下がっていくのを見つめた。それでも2階、3階と下がるたびに、微かな寒気が全身を這う。エレベーターが動く音しか聞こえないはずの密閉された空間に、何かがささやいている。

やがて1階に到着し、ドアが開く。しかしAさんが一歩を踏み出したその瞬間、不意にエレベーターが落下し始めた。非常ベルを鳴らす暇もなく、落下する急激な加速度に耐える。驚愕と恐怖が心を支配する中、エレベーターは地下へと突き進んでいく。何が起きたのか理解する間もなく、エレベーターは地下の未知の階に到着。ドアが開き、そこには古びた廊下が広がっていた。

Aさんの耳にはノイズの混じった女性の叫び声が響く。体が勝手に震え、恐怖に凍り付く。脱出することしか考えられない。しかしボタンを押してもエレベーターは動かない。彼女の携帯電話も圏外だ。漂う異臭、増す寒気、そしていつの間にか壁に増えた子供の手形。絶対に誰もいないはずのエレベーターに、Aさんだけではない何かの気配が濃厚に存在している。